大物猟(イノシシ、シカ)に限定するとクレー射撃を練習し、スコアが向上したからといって、それに比例して実猟の打率が上がるとは限らないという話を紹介したい。
クレー射撃といっても大きく分けるとスキート射撃とトラップ射撃がある。たしかに、スキート射撃については鳥猟の良い練習にはなるとは思うが、こと大物猟に限定するとコストパフォーマンス的には怪しい面がある。
また、大物猟の大先輩たちの言うように『クレー射撃で8割以上あたらなければ、実猟で獲物になんかあたらない』という言葉の真偽を検証してみようと思ったことが、射撃練習をした大きな理由でもある。
射撃練習について
スキート、トラップ、フィールド(おまけ)の順で目標を8割に設定し(当初は3割程度の腕)、達成するまで練習してみた。ちなみに、固定の誰かに教えてもらったというわけではなく、あくまで自己流で練習した結果である。ちなみに教科書は『射撃教本』と『YouTube』。
練習前後の猟期の打率を比較したかったため、練習期間については猟期外に集中的に実施した。また、8割を維持するため、練習期間後は月一回程度射撃練習を行なった。
射獲数と射撃数については獲物一頭をカウントしたもので、一頭仕留めるのに2発使う場合と1発ですむ場合については差を設けていない。※2発使うのは稀
ちなみに、射撃する時は絶対に当たると確信した時のみ
当たるかな?は射撃していない
巻狩りに関して
サンプル数は少ないが、打率についてはやや向上した。誤差の範囲内かもしれないが、接近戦で動きのある獲物に対してはスキート射撃の練習の効果があると感じた。ただし、スキートの練習に関しても据銃したまま射撃練習をするのでは効果は薄い。照準するまでにタイムラグができるため、セコにとっては不利になる。また、射法についてはリード、スイング、スローと全て試したが実猟においてはスロー射法が個人的には一番適していると感じた。ちなみに、実猟で使用している銃は自動銃でカンチレバーにドットサイトの組み合わせ。スコープを載せている場合では射法は変わってくる。
単独猟に関して
単独猟については、30〜70mでの射獲がほとんどであるが、打率については前猟期の結果を下回ることになった。原因を考えてみると、思い当たる事項が一つだけ。それは『実力を過信したこと』につきると思う。というのも思い返してみると、前年には射撃せずもっと獲物を寄せたり、寄ったりして最高の射撃シーンまで待っていた場面で待ちきれずに何度か射撃したことがあった。そして大体外した。これは、クレー射撃が上達したから実猟の射撃の腕も当然上がっているという勝手な思い込みであった可能性が高い。
結論
クレー射撃が上達しても大物猟の打率向上には直接的に結びつかないことが分かった。冷静に考えてみると、そもそも使う銃も弾も引き金の引き方も違う場合がほとんどであるし、実猟についてはその他の要素が多すぎるため当然と言えば当然の結果である。ただし、銃の基本動作や安全管理を学ぶ上で、クレー射撃は定期的に行う必要があるとも思った。今回についてはクレー射撃のスコアが8割という目標だったため、もしかしたら9割以上になると実猟で劇的な違いが出るのかもしれないが、かなり怪しい。始めたばかりの初心者にとっては、クレー射撃を練習するよりも、より実猟を想定した静的射撃、ランニングターゲットを練習した方がコスパについては圧倒的に良い場合が多い。クレー射撃のメリットはたくさんあるが、大物猟での射撃技術の向上という点においてはクレー射撃で得た技術はほとんど役にたたない。
余談
『クレー射撃で8割以上あたらなければ、実猟で獲物になんかあたらない』という意味を考えてみると、オールドハンターの多くは、おそらく鳥猟から始めた人達でそこから大物猟に移行したパターンだ。つまり、最初の鳥撃ちの練習としてクレー射撃を練習し、鳥猟の成果を上げてきた経験があるから、なぜか大物猟についても同じロジックで考えていることが多いと思った。
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